はめ込み式フローリングの特徴
2024.12.8
今まで主流だったノリや釘を用いての施工から、建築業界は次第に接着不要で取り外しがおこなえる「はめ込み式フローリング」にシフトチェンジを進めています。
はめ込み式フローリングのメリット・デメリット、そして購入方法や特徴について詳しく解説をおこないます。
はめ込み式フローリング(床材)の特徴
はめ込み式フローリングとは、フローリングや床材のサネの部分が互いに組み合わさる形になっているフローリングのことで、このタイプの床材を使用する場合、ノリや釘を使用せずに床材の施工がおこなえるという大きなメリットを持ちます。
元々欧米の床材施工はリノベーション文化、すなわち既存の家の床部分を取り替えたり重ね張りしたりする形で発展したもので、家主が変わるタイミングで昔の床材を撤去したり、新しく付け替えたりする必要があるものでした。
そのため、いかに簡単に施工・撤去がおこなえるかが肝となり、日本のように釘やノリで半永久的に固定する方式ではなく、はめ込み式でいつでも取り外せるような床材が流行るようになったのです。
ノリや釘を使わない施工となるため、施工・撤去に要される時間が少なく、個人宅のリノベーションだけでなく、原状復帰が必要なテナントや、イベント会場、摩耗が激しく敷き替えが必要となるオフィスやカフェ等、プライベートから商業施設まで様々な場面で用いられています。
日本の新築型市場では元々釘を用いての施工が一般的でしたが、昨今のリノベーション需要に乗っかり、次第に海外製のはめ込み式床材・フローリングが市場シェアを広げつつあります。
はめ込み式フローリングの種類
ラミネートフローリング
ラミネートフローリングは、木質チップを圧縮したHDFを基材として使用している形が多く、これらを組み合わせての施工が可能です。HDFは木質フローリング同様、切断時に電ノコなどを用いる必要がありDIYで簡単に、とはいきませんが、一度切断してしまえば組み立て・取り外しは比較的容易と言えます。
既存の床の上に施工する場合、防湿シートなどを間に敷くことが一般的です。
LVT
塩ビフロアを5~6㎜程度に厚くし、はめ込み用にサネを加工したタイプのLVTフロアも普及を見せています。既存の塩ビフロアのようにノリを使用する必要が無く、取り外しが容易なメリットを持ちます。
一方で、熱で膨張しやすい塩ビフロアの弱点を引き継いでいるため、熱い場所であったり日光の当たる場所への施工は避けるべきであると言われます。
SPCフローリング
近年はめ込み式フローリングの中で最も知名度の高いタイプの床材と言えます。
SPCフローリングは、上述のLVTフロアに石灰石を混ぜ込んで熱耐性や耐久性を改善した床材で、欧米諸国でシェアを広げたのち、2010年代後半に日本でも徐々に広がりを見せるようになりました。
はめ込み式であり施工・取り外しが簡単なうえ、耐水、耐久、耐熱に優れた特性を持つため、一般住宅のリノベーションから商業施設まで広く使用されるようになっています。
はめ込み式フローリングのデメリット
ノリ・釘を使用せず施工・取り外しが簡単との触れ込みのはめ込み式フローリングには弱点も存在します。
まず、床に固定されているわけではないため、熱による収縮・膨張をおこす可能性があります(※木質フローリングの場合は湿度による膨張)。そのため、壁と床材の間にクリアランスを保持しておかないと、突き上げの原因になることがあるので、施工時に注意が必要です(※熱耐性の比較的高いSPCフローリングであってもクリアランス推奨)。
また、接着剤などで床に張り付ける塩ビタイルの場合は隣り合う床材をはめ込む必要がありませんが、はめ込み式の場合ガッチリとサネ同士が組み合わさることで強度を担保するため、慣れないうちははめ込み時に時間がかかることがあります。
はめ込み式SPCフローリングの練習
Youtube動画などでも多くSPCフローリングの施工動画が実演されていますが、観るのと実際に施工するのとでは大きな違いがあります。当社、株式会社イシカワでは定期的にオフィスにて実演講習会をおこなっており、ご要望に応じてSPCの演習会の実演も対応しております。
一度慣れてしまうと効率よく施工がおこなえるメリットを持つSPCフローリングですが、最初の施工時にはこうした講習などを経ると、施工時の不明点などが明確になり安心・スピーディな施工が実現できます。