SPCフローリングとはStone Plastic Compositeの略で、LVTフローリングと同じ塩ビ由来の床材カテゴリの一つです。従来のLVTフローリングに石灰石パウダーを混ぜ込んだため、今までの問題点であった暑さへの対応や土足歩行の際の耐久性といった面をカバーできるようになりました。

寸法安定性が高く、土足や湿度にも強いオールラウンダーな床材という触れ込みで2010年代に開発され、2024年の全世界での売上高は5000億円に達すると見込まれています。今後も全世界で年20％近い高い市場成長率を維持すると予測されており、既存の床カテゴリに代わって次第に世界を代表する床材カテゴリの一つと見なされています。

SPCフローリングの強み

2010年代に輸入製のSPCフローリングが多く市場に出回り始め、LVTやリノベーション向けの床材の代わりとして徐々にシェアを拡大、2024年には年150億円（日本の床材全体の約3％のシェア）程度の売上が見込まれるほどに成長しました。

特徴	説明
耐久性	SPCフローリングの最大の特徴の一つが「耐久性」。石灰石パウダーを混ぜ込んだ基盤および厚い表面レイヤーによって、土足での使用にも耐えられる仕様。
耐水性・耐湿性	タイルやLVTフローリングのように耐水性が極めて高く、湿度が気になる場所への施工にも適する。今まで輸入フローリングの問題点であった日本の湿気への対応力も抜群。
耐熱性	既存のLVTフローリングの弱点であった「耐熱性」を石灰石パウダーを混ぜ込むことで強化したため、床暖房（※最大適用温度アリ）の上への施工も可能。
施工性・メンテナンス	欧米諸国で主流となっている「クリック式」の施工を採用しているため、既存の床（※条件アリ）の上への施工、そして簡易な解体作業が可能。

SPCフローリングのスペック一覧

SPCフローリングのスペックの特徴として、5.3㎜～6㎜という厚さのため既存の床の上から重ね張りが可能な点です。また、ドイツ製のクンストヴェルクシリーズは200㎜以上という幅広の床材で、施工すると部屋が大きく見える特徴を持ちます。

どのようなところに施工できるのか？

商業施設

商業施設への施工は、SPCフローリングの強みが最も活かされる使用方法の一つとなります。特に意匠性と耐久性の両方が要されるカフェ、レストラン、ホテルなどへのSPCフローリングの施工は日本でも頻繁に行われています。

リノベーション

既存の床の上に施工できるため、賃貸マンションや自宅のリノベーションにうってつけの床材です。取り外しも簡単なため、原状復帰が必要なテナント現場でも広く使用されています。

DIY

クリック式施工の特徴として、施主さんご自身での施工や解体がおこなえます。もっとも、部屋の広さと必要となる床材の計算や、切断、不陸のならしなど実際には一人では難しい作業も少なくなく、最初の施工時には経験者の方に手伝ってもらうことを推奨します。

SPCフローリングの欠点は？

耐久性や耐水性に優れたSPCフローリングですが、他の床材カテゴリと比べてデメリットがないわけではありません。

ノリ・釘を使わないはめ込み式での施工となるため、慣れてしまえば既存の工法よりも早く・安く済みますが最初の施工時には不安や疑問が生じることがあります。株式会社イシカワでは定期的にSPCフローリングの施工講習会を実施しているほか、ドイツのParador社製SPCフローリングご購入の業者様に無料で施工演習をおこなっております。詳細に関しましてはお問い合わせフォームからお気軽にお声掛けください。

石灰石パウダーを混ぜ込んだ強固な製品仕様になっているため、床材そのものが重く、堅いため、マンションの上階などに持ち運ぶ際にはリフトなどが必要で、持ち運びにも注意が必要です。

こうした重さや堅さが気になる場合、SPCフローリング同様にクリック式で耐水・耐久に優れたドイツ製の「モジュラーワン床材」や安価な「ドライバック床材」もおススメできます。使用現場や好みに応じてこうした床材を使い分けできると良いでしょう。